印章の話あれこれ、肩の力を抜いて語ります
by k-matsu_hanko
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実印の話

前回は、はんこの役割についてお話しました。
今回は実印のお話をさせて頂きます。
広辞苑では実印を「市町村に届出て、必要な際に印鑑証明書を求めうる印章」と書いてあります。
それでは、実印はどのような時に必要になるのでしょうか。
債務の連帯保証、借金をする時、不動産の登記、抵当権の設定、商業登記、相続権の行使、等々・・・約束事の意思の裏づけとして書類に残す時に使われます。
実印「印鑑証明書を求めうる印章」が、印鑑登録制度として法律の中に組み込まれたのはいつの頃でしょうか。
明治政府が幕藩体制を崩壊させて、中央集権制度を推し進めていった経緯は、すでに皆さんもご存知のことと思います。
その中の一つに、すべての日本人の戸籍を徹底的に調べ上げ、国民すべてから納税と徴兵の義務を課すことを一番の目的とした、戸籍の法制化がありました。
戸籍の完成により、個々の所在が明確となり、個人の諸事の約束事に責任を持つ意思の証として、印章を用いることも法制化されました。
前回にも書きましたが、江戸時代には武士だけでなく、庶民の間にも儒教の思想が浸透していき、様々な約束事の履行には、「自己責任で意思を表記して確認し合う習慣」が定着していました。
このようなバックボーンのもと、明治政府は明治6年10月1日に太政官布告第23号として、「人民相互の諸証書には必ず実印を用いなくてはならない」と発令し、現在の印鑑登録制度の基盤ができたのです。


◉MEMO
【廃藩置県】はいはん-ちけん
明治4年(1871)7月に行われた地方制度改革で、全国の藩が廃され府県が置かれ、中央集権化が完全に達成されました。
同年末には北海道のほか3府72県が置かれました。

下の印影は当時の県印。
新川県、七尾県など、藩名の名残が残るお宝ものも。

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左から、七尾県、新川県、柏崎県

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左から、栃木県、茨城県、宇都宮県

出典 「日本の官印」木内武男著 発行元 東京美術 昭和49年刊
# by k-matsu_hanko | 2011-05-31 18:54

「はんこ」の役目

はんこは紙に写して、初めて実用的な道具である事は前回に書きました。
はんこの役目を的確に、短いフレーズで伝えるのは結構難しいですが、
「わたしが私であることを示し、わたしが認めた事を公に明らかにする道具」とボクは説明しています。
ですから当事者間で 「これでいこうよ」と約束が出来ていれば、宅急便なら浸透印(シャチハタ印)、社内で決めればゴム印や三文判(出来合印)でも自分の意思に基ずいて判を押せばそれで良いわけです。
江戸時代には儒学が社会一般に及んで、本人同志の信頼関係で多くの経済活動が回っていました。
約束事を履行するための書類や契約書に軸印(筆の軸)や爪印(爪の先)なども使われていました。
筆の軸なんてどこにも有りますし、爪なんて伸びれば切ります。
形も同じ訳ではありませんのであまり意味はないように思いますが、自己責任の意思を表記して確認し合う意味では大切なことだったのでしょう。
明治時代になって法制化されていくはんこの原点は、こんな儒教の影響を受けてきた日本人ならではの発想ともいえます。
# by k-matsu_hanko | 2011-05-27 09:58

「ハンコやさ~ん」「印鑑屋さん」

ボクは新たな友人との出会いにいつも期待と喜びを感じています。
自分の知らない環境で育った方の発想や行動がとても新鮮で魅力を感じるからです。
友達の友達は皆、友達だ。昔こんな言葉が流行りましたね。
現在、ボクは71歳。それでも日々友人から友人を紹介され、新たに広がる世界を楽しんでいます。
友人は、「ハンコやさんの松島さんです」
あるいは「印鑑屋さんの‥です」とボクを紹介します。
(「印鑑屋さん・・・」とは、多分、尊称を付けてボクを紹介したつもりでしょう。)
ボクのいる印章業界ではハンコは「判子」と書きます。
木版印刷の原版である「版木」が語源で、その「版木」よりも小さな版だから、「ハンコ」と呼んでいたとの説があります。
そして「印鑑」は、印鑑証明とか、印鑑制度など、馴染みのある言葉ですが、「印の鑑(かがみ)」と書くように、朱肉で紙に押した押し型(印影)を指します。
ハンコは朱肉を付けて紙に押す道具であり、印鑑は紙に押された結果、出来上がった印影を意味します。
その印影=印の章(しるし)を作る道具として、「印章(いんしょう)」がハンコの正式な名称になります。
でも、ボクは「印章やさんの松島さん」と友人に紹介された事もないし、紹介された方も、耳慣れない言葉にピンとこないでしょうね。


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# by k-matsu_hanko | 2011-05-24 14:37